LEADERS' VOICE
株式会社Aoba-BBT システム開発部

私が「やりなさい」と言うことは、ほぼありません

原

指示しない開発チームはなぜ回るのか。システム開発部を率いる原に聞く

PROFILE

原 株式会社Aoba-BBT システム開発部(氏名・役職は要確認)。建築向け3次元モデリングのソフトウェア開発などを経てBBTに参画。学習プラットフォーム「AirCampus」の開発を担い、スマートフォンアプリは自らコードを書いて開発した。

完全オンラインの大学を支える学習プラットフォーム「AirCampus」。それを開発・運用するシステム開発部は、リモート中心のチームでありながら、命令系統を持たない。開発者が自分で仕事を選び、週単位で振り返る。その仕組みと、属人化を生まない文化について聞いた。

Q. メンバーに仕事を任せるとき、決めていることは。

私が「あなたはこれをやりなさい」と言うことは、ほぼありません。チームにスクラムという開発のフレームワークを導入したのですが、スクラムは巧妙に自律性を高める仕組みになっています。命令系統がないんです。プロダクトの価値を高めるために優先順位を決めるプロダクトオーナーはいますが、開発者に指示はしません。優先順位をつけるだけ。開発者は、チームが目指す方向性にきちんと合意した上で、優先順位の高いものの中から「これが大事だと思う」というタスクを、自分の判断基準で取っていきます。開発者が自分たちで選んでいる、という感じです。

Q. それで責任の重い仕事が偏ったり、残ったりしませんか。

まず粒度の大きいタスクは分解しようという話になります。分解していくと一つひとつの責任は軽くなる。それでも大きいものは誰も取らずに残るんです。そこで「これは誰も取らなかったね。やりにくかったのかな、もっと分解したほうがよかったかな、表現を変えたほうがよかったかな」と、毎週見直して調整する。そうやって、みんながやりやすい仕事にし、責任が分散するように調整していくやり方です。

Q. リモート中心でも、チームとして一丸になれる仕組みは。

一週間を一つのスプリントとして、徹底的に見える化しています。週の初めには2時間から2時間半かけて、今週何をやるかをみんなで話し合う。週の終わりにはレビューがあり、一週間で何がどう変わったかをチームが説明する。その後、振り返りを1時間。全員が一週間にあったことをオンラインの付箋で見える化して、その中からチームで話し合いたいことを一つ選び、30分かけてどう改善できるかを話します。さらに毎日、午前・午後・夕方に15分ずつ現状を共有する時間があります。これは私がやってくれと言ったのではなく、チームが自主的に用意したものです。

マンネリしそうなくらい繰り返しています。でも自分たちの行動に透明性を持たせることで、リモートでも比較的良好に開発できている。昔は「この仕事、誰々さんがやっていることになっているけど、どうなっているんだっけ」ということがよくありましたが、いまはチャットを見ればすぐわかる。不安を抱えて仕事をすることが減りました。

Q. メンバーの成長が事業の成果につながった例を教えてください。

AirCampusのポータルです。ユーザーインターフェースが古いと言われ続けていたのを新しいバージョンに刷新したのですが、私はほとんど口出しをせず、チームが自律的にやり遂げました。それは彼らの成長だと思います。

もう一つ、システム開発部には属人化の問題があまりありません。「この仕事はこの人にしかできない」という状況は、システムの世界ではとても起きやすい。でもチームの中に「これは僕しかできないから、誰か一緒にやろう」という動きが常にあって、必ず誰かがわかっている、必ずドキュメントが残っている。だから人が入れ替わっても深刻なインパクトにならなかった。それはすごいことだと思っています。

Q. 次のリーダーを育てるために行っていることは。

実は、いま私自身はリーダーらしいことをあまりやっていません。生成AIが出てきて、いろいろな仕事をしながら開発できるようになり、開発メンバーの一人に戻っているんです。リーダーがいなければ回らない組織は、もしかしたら弱いのではないかと思っています。いまのシステム開発部なら、誰かに「リーダーをやって」と言えばやってくれるはずです。自律的な人をいかに増やしていくか。それがリーダー育成なのだと思います。特定の分野については私よりはるかに詳しい人がたくさんいますから、そこは完全に任せています。

Q. これから向き合う課題は。

直近ではセキュリティです。2026年9月末ごろから国内の情報漏えい事案が日々発表されるようになり、攻撃側がAIを使うことで速度も種類も変わった。チームの重心も機能開発からセキュリティの点検と防御体制の強化へ移しています。

もう一つはAIガバナンスです。生成AIによって、エンジニアでなくても開発に近いことができるようになりました。ただ、セキュリティについてAIと対話するための言葉を持たない人が、リスクをAIと議論するのは難しい。何もさせないのは違う。やりたい人はどんどんやればいい。でも超えてはいけない一線は示さなければならない。たとえばチーム内や個人で使うのと、お客様に提供するシステムとでは、個人情報を扱うかどうかで要件がまったく変わります。そういうガイダンスづくりは、これからやっていかなければならないと考えています。

Aoba-BBTで働くということ

「話せる人ですね。チームではかなり話すので。それと、みんなには『許可を取らなくていいよ』と言っています。許可を取らずにやってみて、失敗したら謝ればいい。必要なら僕が謝るから、と。AIでの開発が始まってから、一週間にやることを事前に定義しきれなくなりました。計画を待っているとみんな止まってしまう。現場からの声はバックログにたくさんあるのだから、どんどんやったほうがいい。やりすぎても、間違っても、一週間後に必ずチェックするので、そこで『これはもう少し慎重に』と調整できる。だから、好奇心があって、いろいろなことをやってみたい人は合うと思います」

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