仕事を任せる前に、その人がどんな人生にしたいかを理解する
学校法人の経営現場で実践する、人を活かす原則。経営企画室長 乾祐哉に聞く
乾祐哉 株式会社Aoba-BBT 経営企画室長。グループの経営企画を担いながら、学校法人北陸学院の経営に参画。前職では経営企画からグループ会社の経営改革の現場に転じ、Aoba-BBT参画後も社会人教育のプロダクト責任者、営業などを歴任。
「すべての事業のもとは人」。そう語る乾は、Aoba-BBTの経営企画とともに、幼稚園から大学までを擁する学校法人北陸学院の経営改革の現場に立つ。組織の変化は、一人ひとりの人生を理解することから始まるという。
Q. メンバーに仕事を任せるとき、必ずやっていることは。
組織とはいえ個人の集まりです。だからその人がどういう人生にしたいのかを、正しく、なるべく詳細に理解する。経済的な面、やりがいの面、本人が人生で何を達成したいのか。それを理解したうえで、その延長線上に、私たちが運営している学校法人がどう活躍していくかを組み合わせる。必ずその接点を探して、本人と相談しながら適切な役割を担ってもらうようにしています。
Q. 伝統ある学校法人に外部から入り、変化は生まれていますか。
閉塞感はなくなってきたのではないかと思います。自分たちにも次の未来があるかもしれない、意外と気軽に何でも変えられるんだ、自分たちは変えることができるんだ。そう感じてもらえるようになってきた。
やっていることは地味です。現状を見ながら課題を発見して、小さいことを積み上げていく。本質的には、何をすべきか、与えられた資源は何で、それをどう組み替えるかを考えて、周りの人と相談する。現場から上がってくる提案を真摯に聞く。その繰り返しです。
Q. これからの学校・教育機関に必要な人材とは。
変化対応型の人材です。保護者も生徒も、外部環境も、卒業後のキャリアのつくり方も変化を求められている。変化を感じつつ、いかに早く順応するか。合理的な人材・労務管理の仕組みのもとで、自分の職務の壁を意識せずに新しいことに挑戦し、職務の範囲を広げてもらえる人たちの集団にしていくしかないと思っています。
Q. 人材育成で大切にしていることは。
人は、否定的な面を見ようとすればいくらでも出てきます。その中から肯定的な面を見出して、一緒にそれを拡張していく。それが人材育成の基本だと思っています。本質的な悩み、課題、挑戦したい夢、なりたい姿を理解することは、その人が何に恵まれているか、何にギフテッドなのかを理解することにつながる。それをいかに増幅するか。仕事を任せる以前に、その人の人生を幸せにする種はそこにしかないと思うんです。
ただ、周りがいくら「あなたはここに恵まれているよ」と言葉のシャワーを浴びせても、それをつかめるかどうかは本人の心の向き一つです。教育の本質なのかもしれないと思いながら、学生とも接しています。
Q. Aoba-BBTという組織の特徴は。
事業ミッションとして、大前が掲げた「ライフタイムエンパワーメント」、一生学び続けて自分も成長し、他者にも成長してもらう、がベースにあります。個人としても、従業員としても、お客様に対しても、それを支援し推進することが本質です。その原理原則の上で考えたらどうなるか、がはっきりしている。働き方の面でも、結果が出ていれば細かいことは言われない。アメーバのように人と人がつながりながら変革を仕掛けていく。この国では作りにくい組織を、上手につくっていると思います。
Q. 3年後、5年後の姿をどう描いていますか。
中長期はあまり設計しないようにしています。Aoba-BBTは外部の要請に合わせてカメレオンのように事業モデルを修正し続けてきた会社ですし、変化の仮説が多すぎて、設計したところで合わせるのが難しい。ただ、学校法人については、スタッフ一人ひとりがきちんと幸せになり、キャリアとしての成功をつかむことが重要だと思っています。教職員が満足して働ける。その輪を地域の他の学校へ広げ、周辺と協力しながら次の学校法人の姿を設計し、運営していく。ノウハウの共有や運営の仕組みの共通化で、より強く、効率的に、質の高い教育を提供する体制が出てくるだろうと思っています。
「マニュアルが基本的にない会社です。見よう見まねで、自分で考えて自分でやって、結果らしいものにつなげていける人。でも、それがなくても人に聞けばいい。あえて言うなら『自分は運がいいと思っている人』は大丈夫です。人間は本能的にネガティブな情報に目が行きますが、自分が何に恵まれているのか、何がラッキーなのかにポジティブに目を向けられる。どんな状況でも、恵まれた環境をいかに生かすかを考えられる人は、ここでやっていけると思います」
